タグ別アーカイブ: #松下幸之助

一日一話 松下幸之助

四月の言葉

高砂の尾上の桜咲きにけり
外山のかすみ立たずもあらなむ         権中納言匡房

二日 人間はダイヤモンドの原石

私はお互い人間はダイヤモンドの原石の如きものだと考えている。ダイヤモンドの原石は磨くことに拠って光を放つ。しかも其れは磨き方如何カットの仕方如何で、様々に異なる燦然とした輝きを放つのである。同様に人間は誰もが夫々に光る様々な素晴らしい素質を持っている。だか       ら人を育て活かすに中っても先ずそういう人間の本質と云うものを能く認識し其々の人が持っている優れた素質が活きる様な配慮をしていく。それが矢張り基本ではないか。もしそういう認   識が無ければ幾ら良き人材があってもその人を活かすことは難しいと思う。

  • 今日は週刊誌の日
  • memo-素質の発見

*八日 魂を入れた教育(事業は人なりと云われるように人材の育成という事は非常に大切だと思います。最近ではどこの会社でも商店でも従業員教育の制度や組織を設けたりして教育に力を入れているようですが、やはり何よりも大切なのはその教育に云わば魂を入れることだと思うのです。つまり経営者也店主の人格の反映と云うものが其処になくてはならないと云うことです其れは言い換えれば経営者なり店主が働きに於いて模範的であること熱心であるという事です。経営者店主にそうしたものがあれば自然に従業員にも反映して、従業員の模範的な働きが生まれ人が育ってくると思うのです。

  • 今日は花祭りの日(釈迦誕生)
  •  Memo-模範・率先垂範の心

*九日 国民の良識を高める

民主主義の国家として一番大事なものは矢張りその民主主義を支えてゆくに相応しい良識が国民に養われているという事でしょう。さもなければその社会は所謂勝手主義に陥って収拾のつかない混乱も起こりかねないと思います。ですから国民お互いが夫々に社会の在り方人間の在り方について高度な良識を養っていかなければなりません。国民の良識の高まりと云う裏付けがあって初めて民主主義は花を咲かせるのです。民主主義の国にもし良識と云う水をやらなかったならば立派な花は咲かず却って変な花醜い姿のものになってしまうでしょう。

  • 今日は大仏の日 
  • Memoー政治家の責任

*十四日 知識は道具知恵は人

知識と知恵如何にも同じもののように考えられる可もしれない。けれどもよく考えてみるとこの二つは別物ではないかと云う気がする。つまり知識というのはある物事について知っているという事であるが、知恵と云うのは何が正しいかを知ると云うか所謂是非を判断するものではないかと思う。言い換えれば仮に知識を道具に譬えるならば知恵は其れを使う人そのものだと云えよう。お互い知識を高めると同時に其れを活用する知恵をより一層磨き高めてゆきたい。そうして始めて真に快適な共同生活を営む道も開けてくるのではないかと思うのである。

  • 1912年タイタニック事故(14日氷山激突・15日沈没) 
  • 2016年(H28)熊本大地震
  • 今日はオレンジデー
  • Memo―般若波羅蜜多

*十七日 人を惹きつける魅力を持つ

指導者にとって極めて望ましい事は人を惹きつける魅力を持つという事だと思う。指導者にこの人の爲なら・・と感じさせるような魅力があれば期せずして人が集まりまたその下で懸命に働くという事にもなろう。もっともそうは云ってもそうした魅力的な人柄と云うものはある程度先天的な面もあって、誰もが身につける事は難しいかも知れない。併し人情の機微に通じるとか人を大事にするとか云ったことも努力次第で一つの魅力ともなろう。何れにしても指導者は惹きつける魅力の大切さを知りそう云うものを養い高めていくことが望ましいと思う。

  • 2016年(H28)熊本地震発生M7.3被害甚大
  • 今日は恐竜の日
  • Memo-人情に通じる

*二十日 信頼すれば・・・

人を使うコツは色々あるだろうが先ず大事な事は人を信頼し思い切って仕事を任せる事である。信頼され任されればん瓶嚴は嬉しいしそれだけ責任も感じる。だから自分なりに色々工夫もし努力もしてその責任を全うしていこうとする。言ってみれば信頼されることによってその人の力がフルに発揮されてくる譯である。実際には100%人を信頼してする事は難しいもので其処に任せて果たして大丈夫かと云う不安も起こってこよう。併し例えその信頼を裏切られても本望だと云うぐらいの気持ちがあれば案外に人は信頼に背かないものである。

  • 2017年(H29)福岡駅前白昼強盗3億8千万強奪事件  
  • 今日は郵政記念日
  • memo-信頼力

*二一日 しつける

日本人は頭もよく素質も決して劣っていない。だから何がいいか悪いかぐらいは百も承知して要る筈であるが、さてそれが行動になって表れたりすると忽ち電車に乗るのに列を乱したり公園や名所旧跡を汚したりしてしまう。やはりこれはお互いに躾が足りないからではないかと思う。幾ら頭で知っていてもそれが子供の時から躾られていないと何時まで経っても人間らしい振舞が自然に出てこない。つまり折角の知識も躾に拠って身に着いていないとその人の身だしなみも好くならず結局社会人として共に暮らす事が出来なくなってくるのである。

  • 1975年(S50)大分地震M6.4
  • 今日は民放の日 
  • Memo-徳育の重要性を認識する

*二三日 目標を与える

指導者にとって必要なことは目標を与える事である。指導者自身は特別な知識とか技能は持っていなくてもよい。其れは専門家を使えばいいのである。併し目標を与えるのは指導者の仕事である。其れは他の誰がやってくれるものでもない。勿論その目標自体適切なものでなければならないのは当然である。だからその爲には指導者はそう言う目標を生むような哲学見識と云うものを日頃から養わなくてはならない。自分の哲学なり体験に基づいてその時々に応じた適切な目標を次々と与える。指導者はそのことを的確にやれば後は寝ていてもいい程である。

  • 今日は著作権デー
  • Memo-2010年3/12NHKラジオ監督の仕事➡
  • (日本女子バレーチーム)目標設定・キャスティング・リズム・タイミング

*二六日 知識を活用する訓練

松下政経塾には優秀な先生方の講師として来て貰う訳ですが普通の学校の様な授業はやらない。先ず学生が質問をして其れを先生に答えて貰う形式をとる。質問するものがなかったなら先生は何も言ってくれないと云うようにしたいんです。質問をする為には疑問を持たなければならない。疑問を持つに至る迄の勉強は自分で遣らなければ為らないと云う訳です。つまり知識を与えるのではなく持っている知識を活用する能力を育てていく訓練を重ねて自分の考えを堂々と主張できるような人間になってもらいたいという願いを持っているのです。

  • 1896年(S61)ロシアチェルノブイリ原発事故
  • 今日は世界知的所有権の日
  • memo―質問力=理解力

*二七日 賢人ばかりでは

世の中は賢人が揃っておれば万事上手くいくと云うものでは決してありません。賢人は一人いればそれで十分なんです。更に準賢人が三人準準賢人が四人くらい。そんな具合に人が集まれば上々でしょう。賢人ばかりですと議論倒れで一向に仕事が捗らないと云ったようなことに為りがちです。一つの実例を挙げればある会社で三人の立派な人物がお互いに協力し合って居た筈なのにどうも上手くいかない。そこで一人を抜いてみた。すると残る二人の仲がピタッとあって非常に上手く行きぬかれた人物も他の分野で成功した。そこなことがよくあるものなのです。

  • 今日は哲学の日
  • 2010年(H22)凶悪犯罪の時効撤廃

*三一日 道は無限にある

お互い人間と云うものは常に自ら新しいものを呼び起こしつつ為すべきことを成していくと云う態度を忘れてはならないと思います。

お互いが日々の生活、仕事の上に於いてそういう心構えを持ち続ける限り、一年前と今日の姿には自ずと其処に変化が生まれてくるでしょうし、又一年先五年先には更に新たな姿、仕事の進め方が生まれ個人にしろ事業にしろ其処に大きな進歩向上が見られるでしょう。大切なことはそう言うことを強く感じて熱意を持って事に当ると云う姿勢だと思います。そうすれば当に道は無限にあると云う感じがします。

  • 今日はオーケストラの日
  • Memo‐姿勢の在り方 融通無碍

*三十日 困難から力が生まれる

人間と云うものは恵まれた順境が続けばどうしても知らず識らずの裡に其れに馴れて安易に成り易い。昔から治にいて乱を忘れずという事が言われ其れを究めて大切な心構えであるけれどもそういう事が本当に100%出来る人は恐らくいない。やはりどんな立派なな人でも無事泰平な状態が続けば遂安易になる。安心感が生じ進歩が止まってしまう。それが困難に出会い逆境に陥ると其処で目覚める。気持ちを引き締めて事に当たる。其処から順調な時に出なかった様な知恵が湧き考えつかなかった事を考え着く。画期的な進歩革新も初めて生まれてくる。

  • 今日は図書館記念日 
  • 2019年(H31)平成天皇退位
  • 百朝集39真の幸不幸➡逆境の捉え方

今月で丁度、[一日一話」は丸一年を経過致しました。引き続き松下幸之助翁のことばを、著書の中から選んでアップしてい行く予定にしています。

一日一話 松下幸之助

三月の言葉

人はいさ心も知らず古里の
花ぞ昔の香ににほひける              紀貫行


*一日 本当の勇気

私は一般的に本当の勇気と云うものは一つの正義に立脚しないことには、又良心に顧みて之が正しいと思わないことには湧いてこないと思うのです。だから勇気が足りないという事は何が正しいかという事の認識が非常に曖昧である処から出ている姿ではないかと云う感じがします。人々が其々に自問自答して何が正しいかという事を考える。そしてこの正しい差は絶対譲れない。この正しさは通さなければいけないという確固とした信念を持つならば、そこから出てくる勇気は例え気の弱い人であっても非常に力強いものとなる。そう云う様な感じを私は持っているのです。

  • 1930年(S5)谷口雅春生長の家設立
  • 今日は労働法施行の日
  • memoー正義感

*七日 大西郷の遺訓(

西郷隆盛が次のような遺訓を残している。国に功労がある人には禄を与えよ。功労あるからと云って地位を与えてはならない。地位を与えるには自ずと地位を与えるに相応しい見識が無ければならない。功労があるからと云って見識の無いものに地位を与えるという事は国家崩壊の基となると。是は国の事であるが事業経営についても同じことが言える。あの人は会社に大きな功労がある。だから重役にしようとなりがちであるが、この点充分に注意しなければいけない。飽く迄も功労ある人には賞を以て報いその見識ある人に地位を与えることが大事だと思う。

  • 今日は消防記念日
  • Memo-PBFile12南洲手抄志録・遺訓 

*十日 日本の伝統精神

私は日本の伝統精神は極めて優れたものだと思います。ではその伝統精神とは何か。その一つは和を以て貴しとする平和愛好の精神です。凡そ千四百年も前にこの和の精神が聖徳太子によって掲げられています。第二は衆知を以て事を決すと云うつまり民主主義です。古事記にも八百万の神々が相談をして事を決したとあります。日本は真の民主主義の本家本元だと云えるでしょう。第三は主座を保つ。古来日本人は常に主座を失わずに外来のものを朱か吸収し日本化して来ました。この和、衆知、主座と云う三つの柱を守っていくことは、今後においても大切ではないでしょうか。

  • 1945年東京台空襲 陸軍記念日
  • Memo-安岡正篤「百朝集」59六然
  • 随所ニ主ト為バ立処皆眞➡臨済義玄禅師

*十一日 塩の辛さは舐めてみて

例えば水泳の先生が三年間講義をしたとします。それでその講義を受けた人がすぐ泳げるかと云いますと、必ずしも泳げないと思うのです。又塩の辛さと云うものでも、塩を舐めさせることをしないで、塩は辛いぞと云っても判らないでしょう。塩の辛さは舐めてみて初めてああこれが塩の辛さやなと判る分けです。処世のコツとでも申しますかお互いの人生に於いて大切な事柄を会得するということも、事を行ってそのやったことを仔細に考え検討してゆくところから始めて可能になるのではないかと私は思います。

  • 2011年(H23)東日本大震災M9・津波39m
  • 福島原発破壊
  • 今日はパンダ発見の日 
  • Memoー実践行動

*十四日 人間疎外は人間が生む

現代文明における科学技術の発達によって人間が軽視され忘れられているという事が問題になっています。そういった人間疎外を失くす為には常に人間の幸せという事が前提にされなくてはなりません。何故こう云う新しい機会を造るのか、それは人間の幸せの爲である。という事が何時も考えられそれに基づく配慮が為されるならばどんな機械が生み出されて使われても人間疎外は起こらないと思います。現実に人間疎外の様な観を呈しているのは、機械が人間を疎外しているのではなく人間自身が人間自身を大事にせず、人間疎外を生んでいるのではないでしょうか。

  • 1939年(S14)ナチスドイツチェコスロバキア併合
  • 1965年(S40)イリオモテヤマネコ発見
  • 今日はホワイトデー

*十七日 修養に場所を選ぶな

人は若い時の心がけ如何に拠り後に随分差の生じるものである。若し若い時代に自己実力の養成に励まず修養に努めなかったならば、必ず後年後悔をする時が来ると思う。然るに若い人の間では、この仕事は自分に合わないあの主任の下ではどうも働き甲斐がないと、不足を漏らす人がある。これは自己中心のものの考え方の弊害であろう。真に自己の適所を見出す迄には色々経験を積まなければならない。又性格意見の異なった指導者の下で自己を磨く事によってこそ、却ってよりよく修養が得られるものであることを深く知らなければならないと思う。

  • 今日は漫画週刊誌の日

*二十日 まず自分から

反省を求める者には反省を求める。又自分達に於いて反省すべき点があれば、大いに反省して協力体制をとってゆく。そう言うことを誰かが言い出し誰かがやらねばならないのに、誰もが非常な安易感に浸ってしまって成り行き任せ他人任せになってしまっている。それが日本の現状でしょう。是では物事は好転しません。今日一日が過ぎれば明日は明日の風の吹くだろうと云う様な、事なかれ主義は何時か行き詰ります。お互いに全体として考え直そうという行き方を誰かではなく、まず自分が生み出さなくてはならないことを深く自覚すべきと思うのです。

  • 1995年(H7)オウム真理教の地下鉄サリン事件 
  • 2005年(H17)福岡西方沖地震
  • 今日はミニチュアの日・動物愛護デー
  • Memo-自覚を持つ

*二二日 迷いと判断

私は極小の商売から今日迄の間例えば新しい仕事をすべきか否かを決める場合、全部ひとりで決断してきたかと云うと決してそうではありません。自分はやりたいと思うけどそれだけの力があるかどうか自分で判断がつかない時も実際ありました。そういう時には如何したかというと第三者にすっかり打ち明けて、今こう言うことで迷っているんだ君ならどう思うかと尋ねました。それは松下君あかんで・君の力やったらやれると色々言ってくれる。迷った時には私は得心の行く迄他人の意見を聞いてみるという事を遣り乍ら段々大きくなってきたのです。

  • 今日は放送記念日 
  • Memo― 報連相

*二四日 協調性を持つ

みなさんが其々の会社の社員である以上多数の同僚と相接して仕事をしなければならないということになりますから、人の立場を重んじない所謂協調性の少ない人は困ると思うのです。自分はこう思うがあの人はああ思うのだな、それも一つの考えだろうなと云うように人の言に耳を傾けると云う所に協調性が成り立つのです。勿論自己と云うものを卑屈にして協調せよと云うのではありません。けれども自己に捉われた主張は協調性を欠きます。この点どの様な立場にいようと考えなければならない非常に大事な問題ではないかと思います。

  • 2020年(R2)新型ウィルス感染多発状況の為東京オリンピック開催延期を決定
  • 今日は世界結核デー
  • Memo-至人は己無し・神人は功無し(荘子)
  • 自己中心➡無私公正

*二八日 身を捨てる度胸

人生と云うものには色々な問題があります。併しそれらの事も過ぎ去ってみるとあの時に迷わないでやって本当によかったなと云う様な場合が多いのです。そこが大事なところだと思います。ある場合には迷うこともあるでしょう。併し所詮迷ってもお互い自分の知恵裁量というものは本当は小さなものです。だからこれはもう仕方がない。此処迄のだからこれ以上進んで結果が上手くいかなくでもそれは運命だ。と度胸を決めてしまう。そうした場合には案外困難だと思っていたことがスムーズにいって、寧ろ非常に良い結果を生むという事にもなるのではないかと思うのです。

  • 1979年(S54)米スリーマイル島原子力発電所事故発生 
  • 今日はシルクロ―ドの日
  • Memoー去私・捨身

*三一日 道は無限にある

お互い人間と云うものは常に自ら新しいものを呼び起こしつつ為すべきことを成していくと云う態度を忘れてはならないと思います。

お互いが日々の生活、仕事の上に於いてそういう心構えを持ち続ける限り、一年前と今日の姿には自ずと其処に変化が生まれてくるでしょうし、又一年先五年先には更に新たな姿、仕事の進め方が生まれ個人にしろ事業にしろ其処に大きな進歩向上が見られるでしょう。大切なことはそう言うことを強く感じて熱意を持って事に当ると云う姿勢だと思います。そうすれば当に道は無限にあると云う感じがします。

  • 今日はオーケストラの日
  • Memo‐姿勢の在り方 融通無碍

20日の言葉などは、今の日本の現状を言い表している様な重みのある言葉だと思う。事なかれ主義・無関心・責任転嫁が生んだ現状はもう既に行き詰まりの社会環境の様相を呈している様にも感じられるが・・              打開できるのはやはり見識あるリーダーの出現だろう。

一日一話 松下幸之助1

一月の言葉

仕事の知恵・人生の知恵

ちょっと早いですがいつ月の言葉お送りします。来年もよろしくお願いいたします

新しき年の初めの初春の                                        けふ降る雪のいやしけ吉事          大伴家持

二日 信念は偉大なことを為し遂げる

私達は弘法大師の開かれた高野山に登って非常に教えられたことがあります。今でこそ自動車道路も電車もケーブルもできていて便利と云えば便利ですが、お山を開かれた千百数十年前にあれだけ辺鄙な処を開拓しそこに道場を建てるという弘法大師の御執念というか信念というものは想像も出来ないほど強いものがあったと思うのです。我々は中々弘法大師さんの境地に触れることはできません。けれども私はその時やはり人の心、信念と云うものは偉大なことを為し遂げるものだということを痛切に感じて、私も自分の分に応じた一念信念を持たなければいけないなと感じたのです。

三日 不確実な時代はない

不確実性の時代と人はよく言います。事実思わぬことが次々と起こって混乱することがよくありますが、私は不確実性ということは肯定しません。何故なら不確実な現象は全部人間自身の活動の所産であり、人間自身が不確実な行動をする所に起ってくるものだと思うからです。だから不確実な考えや行動をやめたら、確実になってくる。そういう自覚で仕事をすることが大切だと思います。未来は確実性の時代だという発想の転換、未来に対処する基本的姿勢の転換こそ今日私たちがお互いの緊急重要事ではないかと思うのです。

  • 今日は眸の日
  • 関連=安岡正篤「易と人生哲学」「百朝集87・運時命数」

五日 先見性を養う

先見性を持つことは指導者にとって極めて大切なことだ。先見性を持てない人は指導者としての資格がないと云っていいほどである。時代というものは刻々と移り変わっていく。昨日是とされたことも今日は時代遅れだということも少なくない。だからその時代の移り行く方向を見極め変わっていく姿を予見しつつ、それに対応する手を打っていくことによって、元て国家の安泰もあり企業の発展もある。一つの事態に直面して慌ててそれに対する方策を考えるというようなことでは、物事は決して上手くいかない。心して先見性を養いたいものである。

  • 今日はイチゴの日
  • Memo―変化対応力

七日 熱意は磁石

如何に才能が有っても知識があっても、熱意の乏しい人は画ける餅に等しいのです。反対に少々知識が乏しく才能に乏しい点があっても、一生懸命というか強い熱意があれば、そこから次々とものが生まれてきます。その人自身が生まなくても、その姿を見て思わぬ援助、目に見えない加勢と云うものが自然に生まれてきます。それが才能の乏しさを補い知識の乏しさを補ってその人をして仕事を進行せしめる、全うさせるということに為るわけです。恰も磁石が周囲の鉄粉を引き付けるように+熱心さは周囲の人を引き付け周囲の情勢も大きく動かしていくと思うのです。 

  • 1989(S64・-H1)昭和天皇崩御
  • 今日は人日の節句-七草粥
  • Memo―原動力 

十三日 枠に囚われず

私達は仕事進めていく際に、ともすれば自分で自分の枠を決めてしまってはないか。例えばラジオのデザインにしても元来デザインは固定したものでないのだから、三角でも円でもよい筈なのに殆ど箱型である。このことに限らず、不思議なことに人間は自ら枠を作りその中に入ってしまうという悪い傾向がある。これも自己を保身する一つの生き方かも知れないが、窮屈な枠の中で窮屈なものの考え方をしていては、心の働きも鈍くなり自由自在な好い知恵が出てくるものではない。ものには色々な見方がある。時と場合に応じて自在に変えねばならない。そこにこそ発展が生まれるのである。

  • 1945年(S20)昭和三河地震
  • 今日はたばこの日 
  • Memo―無障礙・自在

十七日 決意を持ち続ける

指導者にとって大事なことの一つは志を持つということである。何等かの志、決意というものがあって始て事は成るのである。だから志を立てて決意をするということが必要なわけだが、それは一度志を立て決心すればそれでいいということではない。寧ろ大事なのはそうした志也決意を持ち続けることであろう。其の為にはやはり、絶えず自らを刺激し思いを新たにするようにしなくてはならない。一度志を立て決意することによって、非常に偉大なことを成し遂げられるのも人間であるが、その志・決心を中々貫き通せない弱さを合わせて持っているのもこれまた人間である。

  • 1995年(H7)阪神淡路大震災の日
  • 今日は防災ボランティアの日・お結びの日
  • memo-立志

十九日 人情の機微を知る

人間の心と云うものは中々理屈では割り切れない。理論的にはこうしたらいいと考えられても、人心は寧ろその反対に動くということもあろう。一面、誠に厄介と云えば厄介だがしかしやはりある種の方向というか、法則的なものがあるとも考えられる。そうしたものをある程度体得できるということが、人情の機微を知るということに為るのだと思う。では、人情の機微を知るにはどうしたらいいか。それは矢張り色々な体験を通じて多くの人々と触れ合うことである。そうした体験に立ちつつ常に素直な目で人間というものを見、その心の動きを知ると言うことが大切だと思う。

  • 2013年(H25)大相撲元横綱大鵬死去
  • 今日はカラオケの日 
  • Memo―日々の体験・コミュニケーション能力&洞察力

二十三日 物を作る前に人を創る

私はずっと以前でしたか当時の若き社員に、松下電器は何を作るところかと尋ねられたらならば松下電器は人を創る處で御座います。併せて電器商品を作っております。とこういう事を申せと云ったことがあります。その当時、私は事業は人に有り人を先ず養成しなければならない、人間として成長しない人を持つ事業は成功するものでない。ということを感じており遂そういう言葉が出た譯ですが、そういう空気は当時の社員に浸透しそれが技術・資力・信用の貧弱にも拘らず、どこよりも会社を力強く進展させる大きな原動力となったと思うのです。

  • 1902年(M35)八甲田山陸軍演習遭難事件
  • Memo―人物養成 原動力 資本

二十五日 融通無碍の信念

融通無碍と云う言葉がある。これは別に難しい理屈でも何でもない。至って平凡なことと思う。若し道を歩いていてその前に大きな石が落ちてきて向こうへ行けない場合はどうするか。勿論石に攀じ登っても真直ぐ行くということも一つの方法である。併し其処に無理が生じるのであれば石を避けて回り道をして行くそれが融通無碍だと思う。勿論時には回り道の無い場合もある。しかしそういう時にはまた別の方法を考える。素直に自分の感情に捉われないでこの融通無碍ということを絶えず心掛けていくところに世に処していく一つの道があると思うのである。

  • 今日は初天神縁日(北野天満宮)
  • 日本最低気温の日 
  • memo―法華經の融通無碍の精神 

二十八日 衣食足りて礼節を知る

衣食足りて礼節を知るという言葉がある。これは今から二千年以上も昔の中国で云われたものだというが、今日尚広く使われていると云うことはそこに人間としての一つの真理があるからの様に思える。ところが今日の我が国については衣食足りて礼節を知るどころが衣食足りて礼節益々乱れると云わざるを得ないことが多い。是は当に異常な姿である。我々は今この世の中を正常な姿に戻して社会の繁栄、人々の幸福を生み出してゆく必要がある。其の為には、先ず自己中心のものの考え方行動を自ら反省し、誡めあっていくことが肝要だと思う。

  • 今日は古事記の日-古事記献上の日
  • 2011年(H23)霧島連山新燃岳噴火
  • 2019年(H31)群馬草津白根山噴火
  • Memoー諺成語の真理 

一年間、お付き合い有難うございました。来年もよろしくお願い申し上げます。皆様に良い年が訪れますよう心より祈念いたします。感謝感謝

一日一話 松下幸之助

十月の言葉

このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに      管家

一日 法治国家は中進國

今日法治国家というのは大体先進国と云う事に為っていますが、私は法治国家は真お先進国とは言えないのではないかと云う気がします。是非善悪が何でも法律で決せられる法治国家は謂わば中進国であって真の先進国文明国とは法律が極めて少なく所謂法三章で治まっていく国と云う事では無いかと思うのです。とすれば真の先進国に成る為にはやはり国民の良識の涵養と云うものを大いに図っていかなければ成りません。其事に成功しない限りは先進国にはなれないのではなかと思うのです。

  • 2019年(R1)消費税10%に
  • 今日は印章の日 
  • memo-モラル・倫理観

*四日 心を磨く

人間の心と云うものは本当に自由なものだと思います。何か困難な問題が起こったとしても心の働きに由って如何様にでも考えられると思うのです。もう辛抱出来ない明日にでも自殺したいと云う場合でも考え方を変えるならば。一転して恰も広々とした大海を往くが如き悠々とした心境に転向する事さえできるのです。其れが人間の心の働きと云うものでしょう。ですから我々は是から仕事をするに当って先ず心を磨くと云うかものの考え方を成長させる必要があります。そういう心の働きに今迄得た知識を加えてやっていけば必ず大きな成果が生まれると思います。

  • 世界動物の日
  • Memo―フランクル著「夜と霧」➡希望

*十日 大事に立てば起つ程

困難期混乱期に際して大事な事は根本的な心の迷いを取り除いて確りと心を確立してゆく事です。志を堅く堅持してそして事に立ち向かう事が出来るなら、その時に応じて最善と考えられる具体的な方策は適切に出てくるものだと思います。その志を確固として持つ事無しに混乱期に直面すれば彼是と心が迷い事に為って事が失敗に終る場合が少なくないと思うのです。将に貧すれば鈍すです。大事に立てば起つ程如何生きるかについての確りした信念を持つ。そうして事に当ればある程度の処置を過たずして出来るものだと思います。

  • 1964年(S39)東京オリンピック開催

今日は旧体育の日 memo-六然の教え

*十六日 諸行無常の教え

その昔お釈迦さまは諸行無常と云う事を説かれました。この教えは一般には世は儚いものだと云う意味に解釈されているようですが、私は寧ろ諸行とは万物と考え諸行無常とは即ち万物流転であり生成発展と云う事であると解釈したら如何かと思うのです。言い換えますとお釈迦様は日に新たでなければならないぞと云う事を教えられたのだと云う事です。是は単に仏教だけの問題でなくお互いの日々の仕事を初め慧お互いの人生社会のあらゆる面に当てはまるのではないでしょうか。

  • 今日はボスの日
  • Memo―石原慎太郎「法華経を生きる」
  • 松原泰道「発句教入門」➡諸行無常は現在進行形 紀野一義「法華経を読む」

*十八日 独断は失敗に繋がる

仕事でお互いが注意すべき事は会社の伝統方針を無視した自分一人の考えで行動しないと云う事です。人一人の知恵は如何に優れていても伝統も顧みず方針を等閑視して狭い自分の主観から生まれてくる判断で行動すれば却って会社をマイナスに導きます。私達は兎角ものの一面に捉われて自己の考え已を主張しているとその背後に流れる大きな力を見忘れてしまうものです。其処から大きな失敗が表れてきます。常に自己の背後にある流れ繋がりを見通す目、心を培いその中で自己を生かすよう訓練して行かなければなりません。

  • 今日は統計の日 
  • Memo―見えない力を感じるか➡don’tThink feel(燃えよドラゴン)

*二三日 原因は自分にある

人間と云うものは他人の欠点は目に付き易いものだ。往々にして何か問題が起こると其れは総て他人の所為で自分はに関係がないと考えがちである。実際に他人の所為であって自分は無関係なものもある。併し其れをそう判定するのは飽く迄も人間である。他人の所為ではあるけれども実は自分の所為でもある。と云う様に自分は全く関係がないとは言い切れない場合も少なくないのではなかろうか。少なくとも問題が起こった際には他人の所為だと考える前に、先ず自分の所為ではないかと云う事を一度考え直してみる事が非常に大切ではないかと思うのである。

  • 今日は電信電話記念日

Memo―自己観照・内観・洞察力

*二五日 人の話に耳を傾ける

日頃部下の云う事をよく聞く人の処では比較的人が育っている。其れに対して余り耳を傾けない人の下では人が育ち難い。そういう傾向が有る様に思われる。何故そうなるかと云うと矢張り部下の言葉に耳を傾ける事に拠って、部下が自主的にものを考えるようになり其の事がその人を成長させるのだと思う。けれども自分の云う事に上司が耳を傾けてくれないと云うのでは、唯惰性で仕事をすると云う事になって成長も止まってしまう。上司としてどんな場合でも大事なのは耳を傾けるという基本的な心構えを何時も持っていると云う事であろう。

  • 今日は民間航空記念日

指導者の基本的姿勢・要諦

*二七日 インテリの弱さ

今日能く耳にする言葉にインテリの弱さと云う事がある。是はインテリには生じっかな知識が在る為に其れに囚われて仕舞、其れは出来ないとか其れは如何考えても無理だと思い込んでしまって、中々実行に移さないという一面を言った言葉だと思う。実際嗚呼其れは今迄何度も遣ってみたんだが出来ないんだと、決め込んでいる事が我々の身の回りには意外に多いのではなかろうか。時には自分の考え復自分を捉えている常識や既存の知識から解放され、純粋な疑問純粋な思い付きと云うものを大切にしてみてはどうだろうか。

  • 読書の日
  • 未常識・空理空論

実業界はさておき、現代の政界・官僚を俯瞰すれば、其れなりの学歴を積んだ方々が沢山いるにもかかわらず、どうしてこんなに社会の実情に合わないことが霞が関・永田町でまかり通るのか不思議と云えば不思議な事。        結局、知識はあっても活きた知恵がない問うことになるのかな。安岡正篤師のいう「雑学」「俗學」「曲學」の類の知識ばかりという事かもしれませんね~❣❢

一日一話 松下幸之助

九月の言葉

秋の田のかりほの庵の苫をあらみ 我が衣手は露にぬれつつ     天智天皇

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今朝九月草樹みづから目覚め居て    中村草田男

*二日 経営のコツを掴む

多くの会社の中には非常に上手くいっているところもあれば反対に行き詰る様な所もある。上手くいっている処は従業員が皆優秀で行き詰る処はその反対かと云えば決してそうではない。結局其処に経営があるかないか言い換えれば経営者が、経営のコツを掴んでいるか如何かに拠ってそうした違いが生じてくるのだろう。その証拠に経営者一人が代わる事で倒産寸前の会社が隆々と発展した例はいくらでもある。経営のない会社はいわば頭の無い人間の様なものである。経営者が経営のコツを掴んでいる会社は力強く繁栄発展していくと思うのである。

  • 今日は宝くじの日 Memo―経営者の決断

*七日 徳性養う

人間が人間を動かす事は中々容易な事では無い。力で或は理論で動かす事も出来ない事は無い。然しそれでは何をやっても大きな成功は収められまい。やはり何といっても大事なのは徳を持って所謂心服させると云う事だと思う。指導者に人から慕われる様な徳があって初めて指導者の持つ権力その他諸々の力も生きてくる。だから指導者は努めて自らの徳性を高めなくてはならない。力を行使しつつも反対する者敵対する者を自らに同化せしめる様な徳性を養う為、常に相手の心情を汲み取り自分の心を磨き高める事を怠ってはならないと思う。

  • 1939年(S14)泉鏡花逝-泉鏡花忌
  • Memo―山本七平「人間集団における人望の研究」近視録 易➡元享利貞

*九日 師は無数に存在する

手近に親切な指導者先輩がいて自分を導いてくれる、そう云う人が会社にいる人は幸せだと思います。併し見方に拠れば指導者のいない処にこそ自らの発展と云うものが考えられると云う事も言えるのではないかと思います。蓄音機や白熱電灯等を発明開発したあの偉大なエジソンには指導者がいなかったそうです。其れで自らあらゆる事物に関心を持ち其処に指導者を見出しました。汽車に乗れば石炭を焚く音や車輪の音に指導者を見出した訳です。自らを開拓する気持ちに為れば往く道は無限に開かれている師は無数に存在している。

  • 今日は重陽の節句

*十一日 個人主義と利己主義

今日個人主義と利己主義が混同されている嫌いがあります。本来の個人主義と云うのは個人は非常に尊いものであるという考え方だと思います。が一人の個人が尊いと云う事は同時に他の個人も尊いと云う事になります。ですから個人主義は云わば他人主義にも通じる訳です。其れに対して利己主義と云うものは自分の利益を先ず主として考え他人の利益をあまり重んじない姿です。今日ともすれば個人主義が誤り伝えられて利己主義に変貌してしまっている感がありますが、この画然とした違いをお互いに常日頃から知っておく必要があると思うのです。

  • 2001年(H13)米同時多発テロ発生
  • 今日は公衆電話の日 

*十八日 豊かさに見合った厳しさ

暮らしが豊かになれば成程一方で厳しい鍛錬が必要になってくる。つまり貧しい家庭なら生活そのものに由って鍛えられるから親に厳しさが無くても労りだけで十分子供は育つ。けれども豊かになった段階に於いては精神的に非常に厳しいものを与えなくてはいけない。その豊かさに相応しい厳しさが無ければ人間は其れだけ心身共に鈍ってくる譯である。然るに今の家庭にはそう云う厳しさが足りない。政治の上にも教育の上にも足りない。其れが中学や高校の生徒が色々と不祥事を起こしている一つの大きな原因になっているのではないだろうか。

  • 1931年(S6)満州事変勃発
  • 今日はカイワレ大根の日
  • Memo―道徳倫理修練

*二二日 平和の為の前提条件

平和が大切だと云う事は何千年も前から唱えられているにも拘らずその一方では戦争をしている。甚だ如きは平和の爲の闘争とか戦争と云ったことが、口にされ行われていると云うのが過去現在における人間の姿だと云えましょう。それではその様な状態を脱却し平和を実現する前提として何が必要かと云うと人間としての意識革命ではないかと思います。詰り真の平和と云うものをはっきり見極め心からそれを切望すると云う様な、一人一人の意識革命が一国の政治の上にも教育の上にも醸成されていくならば求めずして平和は生まれてくると思います。

  • 今日は孤児院の日 
  • Memo―国際的徳育

*二五日 信賞必罰

信賞必罰即ち罰すべき罪過ある者は必ず罰し賞すべき功ある者は必ず賞せよということ。是は人間が存在する限り程度の差はあっても絶対に必要な事であろう。此れが行われない国家社会は次第に人心が倦みやがては必ず崩壊してしまうだろう。国家だけではない会社集団家庭何処に於いても是は決して蔑ろにされてはいけない事だと思う。唯ここで大事な事は信賞必罰と云っても常に適時適切でなければならないと云う事である。是は微妙にして非常に難しい事で之が当を得なかったならば却ってことを誤ってしまう。

  • 今日は10円カレーに日
  •  Memo―韓非子

*三十日 感謝する心

今日の社会に於いては我々はどんなに力んでみた処でただ一人では生きてゆけない。やはり親兄弟はじめ多くの人々又人ばかりでなく、周囲に存する物や環境更には自分たちの祖先や神仏自然の恵みの下に暮らしてくる。そう云うものに対して素直に感謝する心を持つと云う事は人として謂わば当然の事であり決して忘れてはならない態度だと思う。若し其云う感謝の心を持たないと云う事に為るならばお互いの生活は極めて味気ない殺伐としたものになるであろう。常に感謝の心を持って接してこそ他人の立場も尊重して行動すると云う事も可能になってくる。

  • 今日はクルミの日

※ 論語による徳性

 民可使由之 不可使知之(泰伯篇)                   民は之を(之に)由らしむべし 之を知らしむべからず

これをどう解釈するか? で本当に論語を行動の指針にできているかどうかがわかるらしい。

安岡正篤師はその著書「論語・老子・禅」の中でこう説明しています。

これは誰知らぬ者の無い言葉であって実に誤用されておる。戦後の事ですがある会合に出たところ、相当な代議士が「もうー民は之を由らしむべし、知らしむべからずーのような封建的思想の時代は去った今やー民は大いに知らしむべし、由らしむべからずーという民主主義の時代になった」と言って得意げに演説しておった。私もちょっと茶目っ気をだして後で「こういうお話であったが、実にとんでもない事だ。あれは孔子の云った言葉だが、孔子ともあろう人が、今あなたが云った様な事を謂うでしょうか」と言ったら目を白黒させて「違いますか」と訊くので「大違いです」と言ってひとくさり説明してあげたことがある。    「民は之を知らしむべからず」を民衆に知らせてはいけないと解釈するから間違ってくるので、第一天下の為、人間を救う為に生涯を捧げた孔子がそういう事を謂う筈がない。                                     民衆というものは常に自分に都合のいい、その場その場の事ばかり求めておるので、本当の事だとか、十年・百年の計だとかいう様な事は判らない。従ってそれを理解させるのはなかなかできない事である。そこで、兎に角訳は判らぬがあの人のすることだから俺はついていくのだ。という風に民衆が尊敬し、信頼する様にせよと言う事で、由らしむべのベシは命令のベシであるが、知らしむべしのベシのほうは可能・不可能のベシである。従ってそれを知らしめよ、由良らしむなと解釈すれば、民は信頼尊敬させてはいけない、宣伝して誤魔化せば好いと言う事になってしまう。少し考えれば判る事だけれども、そういう浅はかな誤随分多い多い。人間というものは難しいものであります。云々

安岡正篤師が云っていることも、要は松下幸之助翁の云う「徳性を養う」(7日)ということの様ですね。今の政治家・指導者・経済界のトップはこういう言葉を知っているのでしょうか?

一日一話 松下幸之助

八月の言葉

天の原ふりさけみれば春日なる 
三笠の山に出でし月かも      安倍仲麻呂              

三日 強固な精神力を

その昔日蓮上人は唯一人の聴衆の姿も見えないと云う時でも巷に立って我が信念を説いたと云います。何をほざくかと馬糞を投げられ石を投げられ散々な侮辱を蒙っても、彼はびくともせず日本の安泰の為に民衆の幸福の為に我が信念を傾けました。日蓮上人のそういう態度と比べてみると我々と同じ人間でありながら大変な相違があるなと云う感じがします。今我々に必要なのは日蓮上人のあの強固な精神力です。日蓮上人と迄は行かなくてもせめて自分の仕事に一つの使命感を感じこれに情熱を傾けて精進する積極的な自主独立の精神を養いたいものです。

  • 今日は蜂蜜の日
  • Memo-松下幸之助は弘法大師・日蓮等偉大な宗教家の行動力実行力に注目➡信念

*十日 欲望は生命力の発現

欲の深い人はというと普通は善くない人の代名詞として使われている様陀。所謂欲に目がくらんで人を殺したり金を盗んだりする事件が余りにも多い為であろう。しかし人間の欲望と云うものは決して悪の根源ではなく人間の生命力の表れであると思う。例えて云えば船を動かす蒸気力の様なものであろう。だから是を悪としてその絶滅を計ろうとすると船を止めてしまうのと同じく人間の生命をも絶ってしまわねばならぬことに為る。つまり欲望それ自体は善でも悪でもなく生其の物であり力だと言って良い。だからその欲望を如何に善に用いるかと云う事こそ大事だと思う。

  • 今日は道の日 
  • Memo―行動の原動力・コントロール要 

*十五日 平和の価値を見直す

最近平和と云うものが何か言わば空気や水の様に極当然に存在するものと云った感じが強くなってきたのではないだろうか。平和の貴重さ有難さが段々忘れられつつあるように感じられる。其れは危険な事だと思う。平和は天然現象ではない。人為と云うか人間の自覚と努力によって初めて実現され維持されるのである。だからこの際お互いにもう一度平和の価値と云うものを見直してみたい。そしてこの価値を知ったうえで国民として何を為すべきかを考え合いたい。差もないと折角続いたこの貴重な平和を遠からずして失う事にも成ってしまうのではないだろうか。

  • 今日は終戦記念日

*十六日 道徳は実利に結びつく

社会全体の道徳意識が高まれば、先ずお互いの精神生活が豊かに成り少なくとも人に迷惑を舁けない様になります。それが更に進んで互いの立場を尊重し合う様に成れば人間関係も良くなり、日常活動が非常にスムーズに行く様になるでしょう。又自分の仕事に対しても誠心誠意之に当ると云う態度が養われれば、仕事も能率的に成り自然により多くのものが生み出される様になる。つまり社会生活に物心両面の実利実益が生まれてくると云えるのではないでしょうか。そう考えるならば私達が道徳に従って全ての活動を行うと云う事は、社会人としての大切な義務だと云う事にも成ると思います。

  • 今日は女子大生の日
  • 参考=渋沢栄一「論語講義」「論語と算盤」安岡正篤「百朝集」

*二一日 カンを養う

カンと云うと一見非科学的なものの様に思われる。併し勘が働く事は極めて大事だと思う。指導者は直観的に価値判断の出来るカンを養わなくてはいけない。其れではそうしたカンはどうしたら持つ事が出来るのか。是は矢張り経験を重ね修練を積む過程で養われていくものだと思う。昔の剣術の名人は相手の動きを勘で察知し切っ先三寸で身を躱したと云うが其れは其れこそ血の滲む様な修行を続けた結果であろう。その様に指導者としても経験を積む中で厳しい自己鍛錬に拠って真実を直感的に見抜く正しいカンというものを養っていかなくてはならない。

  • 今日は献血記念日
  • Memo-安岡正篤「百朝集」87章。運時命数
  • 阿羅耶識―潜在意識の活性化

*二六日 矢面に立つ精神

人間が大事に際して其の難局の矢面に立つと云う事は人生としては怖ろしい事であり大変に勇気のいる事である。スリルがあるとか或はこれは面白いなと云う人も今日の青年の中には居るかもしれないが、本当に腹を割った処あまり愉快ではないと思う。併しこういう場合に敢然としてその矢面に立つ事も男子の本懐と喜んで事に当る事も大切である。そしてそういう人こそ大事に於いて狼狽えずものを決断する事が出来る人であり人多くして人無き社会に於いて本当の人物として立って行く事の出来る人であると云う想いがする。

  • 今日はマザーテレサの日
  • Memo^人物と云うは如何なる様な人か

*三一日 辛抱が感謝になる

我々が一生懸命に仕事をしても世間が其れを認めてくれなかったら非常に悲しい。そんな時その悲しさが不平となり出てくるのも一面無理のない事だと思う。然し認めてくれないのは世間が悪いという解釈もできるがまあ一寸辛抱しよう。今認めてくれなくてもいつか認めてくれるだろう。とじっと耐え忍びいい仕事を続けていくと云うのも一つの方法である。そして認めて貰ったら是は非常に嬉しい。その嬉しさが感謝になる。より多く我々を認めてくれた社会に対して働かなくてはいけないと云う感謝の心になってくる。そういう心が無ければいけないと思う。

  • 今日は野菜の日 Memo―謙虚

26日の「矢面に立つ」は今、現在進行形で、日本のリーダー・政治家・官僚・各省庁責任者たちが尤も肝に銘じてもらいたいと思う言葉だが、残念なことには、事あるごとにその真反対な対応が目立つように感じる。                     日本全国、上へ倣えで下々迄如何言い逃れるかに汲々としているように感じるが・・・

一日一話 松下幸之助

七月のことば

夕去ればひぐらし来啼く生駒山越えてそ 吾が来る妹が目を欲り   間満 (遣新羅使)

一日 素直な心の初段

聞く処によると碁を習っている人は大体一万回ぐらい碁を打てば初段に為れると云う事です。素直な心の場合も其れと同じ様な事が言えるのではないかと思います。先ず素直な心になりたいと朝夕心に思い浮かべ、そうして絶えず日常の行いに捉われた態度がなかったかを反省する。そういう姿を一年二年と続けて一万回約三十年を経たならば、やがては素直の初段とも云うべき段階に到達する事も出来るのではないかと思うのです。素直の初段にもなったならば先ず一人前な心と云えるでしょう。だから大体に於いて過ち無き判断や行動が出来るようになってくると思います。

  • 今日は国民安全の日
  • Memo―養心

五日 責任を生甲斐に

人は成長するに連れて段々その責任が重くなってきます。そして成人に達すると法律的にもはっきり少年の頃とは違った責任を問われます。又次第に高い地位に就くようになると其れだけ責任が重くなります。併し人は元々責任を問われる処に人としての価値があるのだと思います。責任を問われることが大きければ大きい程其れだけ価値が高いと云う事が言えましょう。ですから責任を問われる処に生甲斐も有ろうと云うものです。責任を背負いその事に生甲斐を覚えないとしたら年齢は20歳をどれだけ過ぎようと一人前の人ではありません。

  • 1949年(S24)下山国鉄総裁事件
  • 今日は穴子の日
  • Memo-責任の取り方➡令和の政府政治家は如何?

七日 信ずる事と理解する事

繁栄平和幸福をより早くより大きく生む爲には信ずる事と理解する事-この二つを全うしてゆかねばなりません。と云うのは信を誤らない為には理解を正しく働さなければなりません。

理解を捨てると迷信に陥り易く復理解だけで信ずる心が無ければ信念に弱さを生じてしまうからです。では信斗解を全うしてゆくにどうすればよいか。其れには先ず素直な心に為る事です。正しい理解も素直な心から生まれてきますし信ずる事も素直な心から高まってくると思います。心が素直であって信と解が共に高まればあらゆる場合に適切な働きが出来るようになると思います。

  • 今日は七夕節句たなばた
  • 2005年(H17)ロンドン地下鉄爆破テロ
  • Memo―理性・知性・感性➡根源に素直な心

十一日 礼儀作法は潤滑油

私は礼儀作法と云うものは決して堅苦しい物でも単なる形式でもないと思います。其れは云わば社会生活における潤滑油の様なものと云えるのではないでしょうか。職場では性格や年齢物の考え方等色々な面で異なる人々が相寄って仕事をしています。そのお互いの間を滑らかに動かす役割を果たすのが礼儀作法だと思うのです。ですから礼儀作法と云うものは当然心の籠ったものでなければなりませんが、心に思っているだけでは潤滑油とはなりません。やはり形に表し相手に伝わり易くし心と形の両面が相俟った適切な礼儀作法であってこそ初めて生きてくると思うのです。

  • 今日は世界人口デー
  • Memo‐人間性

十七日 自他相愛の精神

個人と個人との争い国と国との争いは、相手を傷つけ更には社会全体世界全体を混乱させる。そういう争いの大きな原因は自他相愛の精神と云うか、自分を愛するように他人を愛し自国を愛するように他国を愛する精神の欠如によるものであろう。そういう精神の大切さは昔から色々な教えに拠って説かれてい乍ら未だに争いが絶えないのは人々が此の事をの大切さを真に悟っておらずその精神に徹していないからだと思う。争いは自らをも傷つけると云う事を身を持って師利人類に平和を齎す為に力を合わせて行く事が肝要である。

  • 今日は東京の日
  • Memo―環境の作り方・根本精神

二四日 利害を超える

ある日私の処に自分の会社で造る製品の販売を引き受けて貰えないかと云う話を持ってこられた人がいた。私は色々と其の人の話を聞いてみてこの人は偉い人だなと思った。普通であれば自分に出来るだけ有利に為る様交渉する。其れが謂わば当たり前である。ところがその人は全てを任せるという自分の利害を超越した態度を取られた。私はその態度に感激し心を打たれた。我々はともすれば自分の利害を中心にものを考える。是は当然の姿かもしれない。然しそれだけに其れを超越した様な姿に対しては心を動かされる。是もまた人間としての一つの姿ではないか。

  • 今日は劇画の日
  • Memo-社会常識からの超越離脱

二七日 人間の幸せの為の政治

私達が決して忘れてならない事は政治は結局お互い人間の幸せを高める為にあると云う事です。過去に於いては多くの人々が政治に拠って苦しめられお互いの血を血を洗うと云う事もありました。併しそうした好ましくない姿は政治の本来の姿ではない。政治は本来お互い人間の其々の活動をスムーズに進める事が出来るようにするものです。それらの調整調和を図り共同生活の向上を計って、一人一人の幸せを生み高める事こそをその使命としているのです。此の政治は本来人間の幸せの為にあると云う事を私達は先ず正しく認識し合う必要があると思います。

  • 今日はスイカの日
  • Memo-政治施政者の責任➡現状はどう

「素直・感謝・熱意・誠意」は松下幸之助翁の佳き人生を送る為のキーワード

松下幸之助翁はよく政治の在り方にも言及しています。今回の27日の章も「人間のしあわせの為に政治はあるべき」といっています。それは、万民の幸福を目指せということですが、近頃の政治政党の在り方を見ていて感じることは、その思想からははるかに遠く隔たったような状況ではと思えてなりません。     しかし、考え様によってはそういう状況を作っているのは国民野一色かもしれませんね。
選挙における1票は 年収1000万円以上を稼ぐヒトも、年収100万円以下のヒトも同じ価値を有しているはずなのですが、残念ながら選挙に対する興味の高いヒトは年収の高い方々と言うことになりそうです。その結果があまり変化を求めず現状維持の安定を目指す政権がいつも勝利すると云うことなのでしょうね。」

一日一話 松下幸之助

六月のことば

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昔見し象の小川を今見れば いよよ清けくなりにけるかも  大伴旅人

二日 主座を保つ

指導者と云うものはどんな時でも、自分自らこの様にしよう・こうしたいと云うものは持っていなくてはならない。そういうものを持った上で他人の意見を参考として取り入れる事が大事なのであって、自分の考えを持たずして只他人の意見に随うと云うだけなら、指導者としての意味はなくなってしまう。要は指導者としての主体性というか主座と云うものを確り持たなくてはいけないという事である。主座を保ちつつ他人の意見を聞きある種の権威を活用していく。そういう指導者であって初めてそれらを真に活かす事が出来るのだと思う。

  • 1582(天正10)本能寺の変 
  • 1985年(60)つくば科学技術博覧会
  • 2010年(H22)民主党鳩山首相退陣
  • 宇宙ステーションより宇宙飛行士野口聡一帰還
  • 今日は路地の日
  • Memo―臨済録➡臨済禪師 隋処作主立処皆眞 百朝集(六然)

八日 富の本質

時代によってと身に着いての考え方も変わってきます。これ迄は単に蓄積された物がと富と考えてきましたが経済の進歩した今日では。その物を生産し得る能力生産力こそが真の富とも考えられます。それでは生産力だけを増やせばいいかと云うと決してそうではありません。生産は必ず消費に相応じなければなりません。幾ら生産してもそれが消費されなければ何の値打ちも持ちません。即ち消費力があればこそ生産力があるのです。従って生産力と消費力のバランスをとりつつ増大させて行く事が富の増大で有り、繁栄の道も其処から生まれてくると云えるのではないでしょうか。

  • 2001(H13)大阪教育大付属池田小学校等乱入殺傷事件-宅間守 
  • 2008(H20)秋葉原無差別殺傷事件 
  • 今日はバイキングの日
  • Memo―経済活動の循環・消費力

十二日 公明正大

後漢の時代に高潔を謳われた楊震と云う政治家がいた。この人がある地方の太守として赴任して行った処偶々以前に引き立ててやった王密と云う人が夜分に訪ねて来て大枚の黄金を楊震に贈ろうとした。楊震が受け取るのを断ると王蜜はこんな夜中でこの部屋には私達二人しか居ないのですから誰にも判りませんよと云った。その時に楊震は誰も知らないと云うが君と私自身が知っているではないか斯う言ったと云う。他人が知っているという事よりも先ず自らの心を問うて疾しい処がないか公明正大であるかと云う事が大切だと思うのである。

  • 今日は恋人の日
  • Memo―天網恢恢疎にして漏らさず・天知る地知る己知る

十五日 批判は後でよい

賢い人は伴すれば批判が先に立って目前の仕事に没入しきれない事が多い。此の為折角優れた頭脳と知恵を持ちながら批判ばかりして結局は簡単な仕事も満足に出来ない事がある。処が逆に人が見れば詰らないと思われるような仕事にもバカの一つ覚えと云われるぐらいに全身全霊を打ち込む人がいる。此の姿は全く尊く見ていても頭が下がる。仕事に成功するかしないかは第二の事、要は没入する事である。批判は後でよい。兎に角一心不乱に成る事だ。斯うした努力は必ず実を結ぶと思う。其処からものが生まれずして一体どこから生まれよう。

  • 今日は信用金庫の日
  • Memo-馬鹿と莫迦の違い

十九日 美と醜

私の自宅の近くに水のきれいな池がある。水面に周囲の樹々の姿を映し誠に風情がある。処がこの池が一頃雨が降らなくて底の大半を露出してしまう迄になった。移すべき何物も無く醜い底を露呈するばかりである。美の半面には醜があるーそんな思いである。お互い人間も是と同じ事ではなかろうか。美と醜とが相表裏している処に人間の真実がある。とすれば美の面の巳に捉われてその反面の醜を責めるに急なのは人間の真実と云うものを知らないものである。温かい寛容の心を持って接し合う事がお互いに明るく暮らす為の一番大事な事ではなかろうか。

  • 1945年(S20)福岡大空襲
  • 今日は元号の日・チャンピオンの日
  • Memo-安岡正篤「百朝集」34章人の是非

二二日 知識はあっても

先般あるお店で金庫の扉がガス溶接機で焼き切られて中から金を盗まれたと云う事件がありました。ガス溶接の知識を利用して扉を溶かした訳です。そういう泥棒がいるのです。都筑は幾ら持っていても人間の心即ち良心が養われなければ、そういう悪い方面に心が働き知識は却って仇を為すと云う様な感じがします。今日新しい知識が無ければ生活に事欠くと云う位知識は大事なものです。其れだけに知識に相応しい人間人心と云うものを育てる事が非常に必要な事ではないかと思うのです。

  • 1965年(S40)日韓国交 2010年(H22)広島マツダ自動車工場構内車暴走事件
  • 今日はカニの日・ボーリングの日
  • Memo―安岡正篤「論語・老子・禪」智慧と理性

三十日 健康法は無くても

私は若い頃から病弱であったが、戦中戦後の無我夢中で働かざるを得ない時期を経て健康体になり今でもまだ元気でいられる。健康法と云えるものは何もないと云っていい私にとって是は考えてみれば誠に有難い事だし本当に不思議なものだと思う。併し此れ迄の歩みを振り返ってみると私は一つの仕事が成就すると又すぐ次の仕事をと、絶えず目標を持って努めてきた。いま静かに思うとその繰り返しの中に張り合いがあり、そこに云わば死ぬに死ねないとでもいうか一種の緊張感が漲っていた。其処に生きる張り合いを感じ毎日を過ごしてきた様に思うのである。

  • 今日は集団疎開の日

松下幸之助翁が安岡正篤師の著書を読んでいたかどうかは定かではありませんが、多分大阪師友会等には出席され、言葉を交わしたことなどもあるのではと思います。著書を読んでる読んでないは別として、やはり達人の域に達した人の意見というか者のとらえ方見方は似たようなものになるのだなということを感じています。

一日一話 松下幸之助

五月の言葉

ほととぎす啼きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる 後徳大寺左大臣

三日 法律は国民自身の為に

民主主義の政治の元に於ける法律は国民お互いの暮らしを守り、夫々の活動の成果を得易くし一人一人の幸せを生み高めていく処に究極の目的なり存在意義があるのだと思います。言ってみれば国民が国民自身の幸せを実現して行く為に自ら法律を制定すると云う仕組みになって要る訳です。従って国民お互いがこういう法律を軽視し無視するような姿が仮にあるとするならば、それは云わば自分自身を軽んじ自分の尊厳を失う事にも通じると思います。其事をお互い国民は正しく認識し合い法律を常に正しく守りあってゆく事が肝要だと思います。

  • 今日は憲法記念日 
  • memo―法治国家の在り方尊厳―とは

七日 自らを教育する

人間の教育には勿論立派な校舎も必要で有環境も必要でしょうが其れ已に頼っていてはならないと思うのです。行政の充実により成程環境は段々良くなってくるでしょう。併しそういう環境が作られたとしましてもその中で其々の人が自らを処して自らを教育してゆく。自問自答しつつより高きものに為って往く事を怠っては決して立派な人間は生まれてこないと思うのです。今日より明日、明日より明後日と自らを高めてゆく処に人間の成長があり復其処から立派な人間が生まれてくるのではないでしょうか。

  • 2012年(H24)茨木筑波竜巻発生
  • Memo―自己成長

十日 熱意あれば

人の上に立つ指導者管理者としての要諦というものは色々考えられるけれども、その中でも最も大事なものの一つは熱意ではないかと思う。非常に知恵才覚に於いて人に優れた首脳者であってもこの会社を経営しようという事に熱意が無ければその下にいる人も。この人の下では大いに働こうという気分に成り難いのではないだろうか。そうなっては折角の知恵才覚も無きに等しいものに為ってしまう。自らは他に何も持っていなくても熱意さえ保持していれば知恵ある人は知恵を力ある人は力を才覚ある人は才覚をだしてそれぞれに協力してくれるだろう。

  • 今日は愛鳥の日
  • Memo-事の為る根底➡指導者の熱意

十五日 業界の信用を高める

どんな商売もそうでしょうが自分ぽ店が発展繁栄していくには、そのお店の属している業界全体が常に健全で世間の人々から信用されていることが非常に大事だと思います。もしそうではなく業界の中に不健全な店が多ければあの業界はダメだ信用できないと云うことに為って、その業界に属する個々の店も同じ様な評価を世間から受け商売は成り立っていきにくくなるでしょう。ですからお互い商売を進めていく上で自分の店の繁栄を図る事は元より大事ですがそれと同時に他の店とも上手く協調して業界全体の共通の信用を高める事を配慮する事が究めて大事だと思うのです。

  • 1932年(S7)5.15事件
  • 1972年(S47)沖縄返還
  • Memo-業界の健全化➡ネットワークビジネス

十六日 人間観を持つ

人間の幸せを高めていく為には先ず人間が人間を知る事が大切だと思う。言い換えれば人間とはどういうものでありどう云う歩み方をすべきであるかと云う正しい人間観を持つという事である。そうした人間に対する正しい認識を欠いたならば如何に努力を重ねても其れは往々にして実りの無いものに為ってしまい時には却って人間自身を苦しめる事にもなりかねない。そういう意味に於いてが先ず正しい人間観社会観と云ったものを生み出し、それに基づく指導理念を打ち立てていくならばそれは極めて力強いものに為ってくると思うのである。

  • 1968(S43)十勝沖地震M7.8
  • 今日は旅の日
  • Memo―認識・観察眼

二十日 公平な態度

国に於ける法律の適用には万が一にも不公平があってはならないが、会社や団体に於ける規律や規則についても是と復同じ事が言える。会社の規則と云うものは一新入社員であろうと社長であろうと等しく此れを守り其れに反した時には等しく罰せらるという事で初めて社内の秩序も保たれ士気も上がるのである。だから指導者は常に公平という事を考えなくてはならない。利害とか得失、相手の地位強弱に拘りなく何が正しいかと云う所から公平に賞すべきものは賞し罰すべきものは罰すると云う姿勢を遵守しなければならない。

  • 今日は世界計量記念日
  • Memo-指導者の基本姿勢➡現代の政治企業トップの在り方には疑問あり

二二日 感心する

同じ様に人の話を聞いても中々良い事を言うなぁと感心する人もあればなんだ詰らないと思う人もいる。どちらが好ましいかと云うと勿論話の内容にも依るだろうがいいなぁと感じる人の方に、より多くその話の内容から仕事に役立つような何かヒントを得て、新しい発想をすると云ったプラスの価値が生まれてくるだろう。一寸した事だけれども人生とか事業の成否のカギは案外こうした処に在るのではないかと思う。人の意見を聞いて其れに流されてはいけませんが、お互い先ず誰の意見にも感心し学び合うという柔軟な心を養い高めていきたいものである。

  • 今日はガールスカウトの日
  • 2009年(H21)ネットワーク事業セーラ登録

二八日 失敗を素直に認める

例えどんな偉大な仕事に成功したと云う人でも何の失敗もしたことがないと云う人はいないと思います。事に当って色々失敗してその都度其処に何かを発見しそう言うことを幾度となく体験しつつ段々成長していき遂には立派な信念を自分の心に植えつけ偉大な業績を為し遂げるに至ったのではないでしょうか。大切な事は何等かの失敗があって困難な事態に陥った時に其れを素直に自分の失敗と認めていくという事です。失敗の原因を素直に認識し是は非常に好い体験だった尊い教訓になったと云う処迄心を開く人は後日進歩し成長する人だと思います。

  • 今日はゴルフ記念日
  • Memo―体験の認識➡プラス思考・志向

なんでも、人の話を否定的にとる人がいる。本人は意識していないのだろうが、これは、本人にとっても大きな損失になっているということに、早く気付いてほしいものである。松下幸之助翁は22日の章で、此の事を非常に大切な事と教えている。

一日一話 松下幸之助

四月の言葉

高砂の尾上の桜咲きにけり                           外山のかすみ立たずもあらなむ  権中納言匡房             

二日 人間はダイヤモンドの原石

私はお互い人間はダイヤモンドの原石の如きものだと考えている。ダイヤモンドの原石は磨くことに拠って光を放つ。しかも其れは磨き方如何カットの仕方如何で、様々に異なる燦然とした輝きを放つのである。同様に人間は誰もが夫々に光る様々な素晴らしい素質を持っている。だから人を育て活かすに中っても先ずそういう人間の本質と云うものを能く認識し其々の人が持っている優れた素質が活きる様な配慮をしていく。それが矢張り基本ではないか。もしそういう認識が無ければ幾ら良き人材があってもその人を活かすことは難しいと思う。

  • 今日は週刊誌の日
  • memo-素質の発見

五日 学ぶ心

人とは教わらず又学ばずして何一つとして考えられるものでは無い。幼児の時は親から、学校では先生から、就職すれば先輩からと云うように教わり学んで後初めて自分の考えが出るものである。学ぶと云う心掛けさえあれば宇宙の万物はみな先生となる。物言わぬ木石から秋の夜空に輝く星屑などの自然現象、また先輩の厳しい叱責、後輩の純粋なアドバイス一つとして師ならざるものはない。どんな事からもどんな人からも、謙虚に素直に学びたい。学ぶ心が旺盛な人程新しい考えを創り出し独創性を発揮する人であると云っても過言ではない。

  • 今日はデビューの日 
  • Memo-至誠・姿勢➡読書
  • 百朝集四七章ー三学:少くして学べば壮にして為すあり 壮にして学べば老いて衰えず 老いて学べば死して朽ちず

十四日 知識は道具知恵は人

知識と知恵如何にも同じもののように考えられる可もしれない。けれどもよく考えてみるとこの二つは別物ではないかと云う気がする。つまり知識というのはある物事について知っているという事であるが、知恵と云うのは何が正しいかを知ると云うか所謂是非を判断するものではないかと思う。言い換えれば仮に知識を道具に譬えるならば知恵は其れを使う人そのものだと云えよう。お互い知識を高めると同時に其れを活用する知恵をより一層磨き高めてゆきたい。そうして始めて真に快適な共同生活を営む道も開けてくるのではないかと思うのである。

  • 1912年タイタニック事故(14日氷山激突
  • ・15日沈没) 2016年(H28)熊本大地震
  • 今日はオレンジデー 
  • Memo―般若波羅蜜多:知恵ではなく智慧

二一日 しつける

日本人は頭もよく素質も決して劣っていない。だから何がいいか悪いかぐらいは百も承知して要る筈であるが、さてそれが行動になって表れたりすると忽ち電車に乗るのに列を乱したり公園や名所旧跡を汚したりしてしまう。やはりこれはお互いに躾が足りないからではないかと思う。幾ら頭で知っていてもそれが子供の時から躾られていないと何時まで経っても人間らしい振舞が自然に出てこない。つまり折角の知識も躾に拠って身に着いていないとその人の身だしなみも好くならず結局社会人として共に暮らす事が出来なくなってくるのである。

  • 1975年(S50)大分地震M6.4 
  • 今日は民放の日 関連項目=7/11・8/30
  • Memo-徳育の重要性を認識する

二五日 福祉は自ら作るもの

お互いの福祉を向上させていくことは好ましい事であり基本的には大いに推進されていい併し問題は誰が其れを生み出すかである。今日一つの風潮として国民は国が色々やってくれるだろうと思い、国は国民の税金を頼り足りなければ増税したらいいと云う安易な考えがある。其々が何とかなるだろうと考えている訳である。併し福祉を高めていくのに必要な資金は皆国民が営々として働き生み出した税金に外ならない。つまり福祉を行うのは形の上では国であっても国民なのである。そういう認識を深くし福祉の向上の爲にお互い何を為すべきかを考えることが極めて大事だと思う。

  • 今日は国際連合の日 
  • 2005年(H17)JR福智山線脱線事故
  • Memo‐問われるべきは国民よりも先ず施政者の姿勢

二七日 賢人ばかりでは

世の中は賢人が揃っておれば万事上手くいく                 と云うものでは決してありません。賢人は一人いればそれで十分なんです。更に準賢人が三人準準賢人が四人くらい。そんな具合に人が集まれば上々でしょう。賢人ばかりですと議論倒れで一向に仕事が捗らないと云ったようなことに為りがちです。一つの実例を挙げればある会社で三人の立派な人物がお互いに協力し合って居た筈なのにどうも上手くいかない。そこで一人を抜いてみた。すると残る二人の仲がピタッとあって非常に上手く行きぬかれた人物も他の分野で成功した。そこなことがよくあるものなのです。

  • 今日は哲学の日
  • 2010年(H22)凶悪犯罪の時効撤廃

さくらも各地満開に、コロナも少し落ち着いた状態。春は何となくウキウキする雰囲気があります。

一日一話に於いても、四月は新しい年度の出発点ということもあり、新社会人に向けた、或いは新社会人を迎える人達に対してのメッセージが多いようです。自らの体験、経験に基づいての処世哲学❕❕ 短い文章ではありますが、学ぶべき考え方の宝庫と言えるのではないでしょうか。