四月の言葉
高砂の尾上の桜咲きにけり
外山のかすみ立たずもあらなむ 権中納言匡房
二日 人間はダイヤモンドの原石
私はお互い人間はダイヤモンドの原石の如きものだと考えている。ダイヤモンドの原石は磨くことに拠って光を放つ。しかも其れは磨き方如何カットの仕方如何で、様々に異なる燦然とした輝きを放つのである。同様に人間は誰もが夫々に光る様々な素晴らしい素質を持っている。だか ら人を育て活かすに中っても先ずそういう人間の本質と云うものを能く認識し其々の人が持っている優れた素質が活きる様な配慮をしていく。それが矢張り基本ではないか。もしそういう認 識が無ければ幾ら良き人材があってもその人を活かすことは難しいと思う。
- 今日は週刊誌の日
- memo-素質の発見
*八日 魂を入れた教育(事業は人なりと云われるように人材の育成という事は非常に大切だと思います。最近ではどこの会社でも商店でも従業員教育の制度や組織を設けたりして教育に力を入れているようですが、やはり何よりも大切なのはその教育に云わば魂を入れることだと思うのです。つまり経営者也店主の人格の反映と云うものが其処になくてはならないと云うことです其れは言い換えれば経営者なり店主が働きに於いて模範的であること熱心であるという事です。経営者店主にそうしたものがあれば自然に従業員にも反映して、従業員の模範的な働きが生まれ人が育ってくると思うのです。
- 今日は花祭りの日(釈迦誕生)
- Memo-模範・率先垂範の心
*九日 国民の良識を高める)
民主主義の国家として一番大事なものは矢張りその民主主義を支えてゆくに相応しい良識が国民に養われているという事でしょう。さもなければその社会は所謂勝手主義に陥って収拾のつかない混乱も起こりかねないと思います。ですから国民お互いが夫々に社会の在り方人間の在り方について高度な良識を養っていかなければなりません。国民の良識の高まりと云う裏付けがあって初めて民主主義は花を咲かせるのです。民主主義の国にもし良識と云う水をやらなかったならば立派な花は咲かず却って変な花醜い姿のものになってしまうでしょう。
- 今日は大仏の日
- Memoー政治家の責任
*十四日 知識は道具知恵は人
知識と知恵如何にも同じもののように考えられる可もしれない。けれどもよく考えてみるとこの二つは別物ではないかと云う気がする。つまり知識というのはある物事について知っているという事であるが、知恵と云うのは何が正しいかを知ると云うか所謂是非を判断するものではないかと思う。言い換えれば仮に知識を道具に譬えるならば知恵は其れを使う人そのものだと云えよう。お互い知識を高めると同時に其れを活用する知恵をより一層磨き高めてゆきたい。そうして始めて真に快適な共同生活を営む道も開けてくるのではないかと思うのである。
- 1912年タイタニック事故(14日氷山激突・15日沈没)
- 2016年(H28)熊本大地震
- 今日はオレンジデー
- Memo―般若波羅蜜多
*十七日 人を惹きつける魅力を持つ
指導者にとって極めて望ましい事は人を惹きつける魅力を持つという事だと思う。指導者にこの人の爲なら・・と感じさせるような魅力があれば期せずして人が集まりまたその下で懸命に働くという事にもなろう。もっともそうは云ってもそうした魅力的な人柄と云うものはある程度先天的な面もあって、誰もが身につける事は難しいかも知れない。併し人情の機微に通じるとか人を大事にするとか云ったことも努力次第で一つの魅力ともなろう。何れにしても指導者は惹きつける魅力の大切さを知りそう云うものを養い高めていくことが望ましいと思う。
- 2016年(H28)熊本地震発生M7.3被害甚大
- 今日は恐竜の日
- Memo-人情に通じる
*二十日 信頼すれば・・・
人を使うコツは色々あるだろうが先ず大事な事は人を信頼し思い切って仕事を任せる事である。信頼され任されればん瓶嚴は嬉しいしそれだけ責任も感じる。だから自分なりに色々工夫もし努力もしてその責任を全うしていこうとする。言ってみれば信頼されることによってその人の力がフルに発揮されてくる譯である。実際には100%人を信頼してする事は難しいもので其処に任せて果たして大丈夫かと云う不安も起こってこよう。併し例えその信頼を裏切られても本望だと云うぐらいの気持ちがあれば案外に人は信頼に背かないものである。
- 2017年(H29)福岡駅前白昼強盗3億8千万強奪事件
- 今日は郵政記念日
- memo-信頼力
*二一日 しつける
日本人は頭もよく素質も決して劣っていない。だから何がいいか悪いかぐらいは百も承知して要る筈であるが、さてそれが行動になって表れたりすると忽ち電車に乗るのに列を乱したり公園や名所旧跡を汚したりしてしまう。やはりこれはお互いに躾が足りないからではないかと思う。幾ら頭で知っていてもそれが子供の時から躾られていないと何時まで経っても人間らしい振舞が自然に出てこない。つまり折角の知識も躾に拠って身に着いていないとその人の身だしなみも好くならず結局社会人として共に暮らす事が出来なくなってくるのである。
- 1975年(S50)大分地震M6.4
- 今日は民放の日
- Memo-徳育の重要性を認識する
*二三日 目標を与える
指導者にとって必要なことは目標を与える事である。指導者自身は特別な知識とか技能は持っていなくてもよい。其れは専門家を使えばいいのである。併し目標を与えるのは指導者の仕事である。其れは他の誰がやってくれるものでもない。勿論その目標自体適切なものでなければならないのは当然である。だからその爲には指導者はそう言う目標を生むような哲学見識と云うものを日頃から養わなくてはならない。自分の哲学なり体験に基づいてその時々に応じた適切な目標を次々と与える。指導者はそのことを的確にやれば後は寝ていてもいい程である。
- 今日は著作権デー
- Memo-2010年3/12NHKラジオ監督の仕事➡
- (日本女子バレーチーム)目標設定・キャスティング・リズム・タイミング
*二六日 知識を活用する訓練
松下政経塾には優秀な先生方の講師として来て貰う訳ですが普通の学校の様な授業はやらない。先ず学生が質問をして其れを先生に答えて貰う形式をとる。質問するものがなかったなら先生は何も言ってくれないと云うようにしたいんです。質問をする為には疑問を持たなければならない。疑問を持つに至る迄の勉強は自分で遣らなければ為らないと云う訳です。つまり知識を与えるのではなく持っている知識を活用する能力を育てていく訓練を重ねて自分の考えを堂々と主張できるような人間になってもらいたいという願いを持っているのです。
- 1896年(S61)ロシアチェルノブイリ原発事故
- 今日は世界知的所有権の日
- memo―質問力=理解力
*二七日 賢人ばかりでは
世の中は賢人が揃っておれば万事上手くいくと云うものでは決してありません。賢人は一人いればそれで十分なんです。更に準賢人が三人準準賢人が四人くらい。そんな具合に人が集まれば上々でしょう。賢人ばかりですと議論倒れで一向に仕事が捗らないと云ったようなことに為りがちです。一つの実例を挙げればある会社で三人の立派な人物がお互いに協力し合って居た筈なのにどうも上手くいかない。そこで一人を抜いてみた。すると残る二人の仲がピタッとあって非常に上手く行きぬかれた人物も他の分野で成功した。そこなことがよくあるものなのです。
- 今日は哲学の日
- 2010年(H22)凶悪犯罪の時効撤廃
*三一日 道は無限にある
お互い人間と云うものは常に自ら新しいものを呼び起こしつつ為すべきことを成していくと云う態度を忘れてはならないと思います。
お互いが日々の生活、仕事の上に於いてそういう心構えを持ち続ける限り、一年前と今日の姿には自ずと其処に変化が生まれてくるでしょうし、又一年先五年先には更に新たな姿、仕事の進め方が生まれ個人にしろ事業にしろ其処に大きな進歩向上が見られるでしょう。大切なことはそう言うことを強く感じて熱意を持って事に当ると云う姿勢だと思います。そうすれば当に道は無限にあると云う感じがします。
- 今日はオーケストラの日
- Memo‐姿勢の在り方 融通無碍
*三十日 困難から力が生まれる
人間と云うものは恵まれた順境が続けばどうしても知らず識らずの裡に其れに馴れて安易に成り易い。昔から治にいて乱を忘れずという事が言われ其れを究めて大切な心構えであるけれどもそういう事が本当に100%出来る人は恐らくいない。やはりどんな立派なな人でも無事泰平な状態が続けば遂安易になる。安心感が生じ進歩が止まってしまう。それが困難に出会い逆境に陥ると其処で目覚める。気持ちを引き締めて事に当たる。其処から順調な時に出なかった様な知恵が湧き考えつかなかった事を考え着く。画期的な進歩革新も初めて生まれてくる。
- 今日は図書館記念日
- 2019年(H31)平成天皇退位
- 百朝集39真の幸不幸➡逆境の捉え方
今月で丁度、[一日一話」は丸一年を経過致しました。引き続き松下幸之助翁のことばを、著書の中から選んでアップしてい行く予定にしています。