松下幸之助 一日一話
【九月】
一日
わが国では毎年台風や集中豪雨で大きな水害を受ける処が少なくない。然し此れ迄の例から見ると大雨が降って川が溢れ街が流されてもうだめかと云えば必ずしもそうではない。数年も経てば被害を受けなかった街よりも却って綺麗に成り繁栄していることが屡々ある。勿論災難や厄難は無いに越したことは無いが思わ牟時に思わぬ事が起こってくる。だから苦難が其れも佳と云う心づもりを常に持ち安易に流されず凡に堕さず人一倍の知恵を絞り人一倍の働きを積み重ねてゆく事が大切だと思う。
- 1923年(T12)関東大震災
1939年(S14)独ナチス・ポーランド侵攻第二次世界大戦始まる
今日は防災の日 関連項=6/6・6/9・8/11
Memo―希望・計画 プラス思考
*七日 徳性養う
人間が人間を動かす事は中々容易な事では無い。力で或は理論で動かす事も出来ない事は無い。然しそれでは何をやっても大きな成功は収められまい。やはり何といっても大事なのは徳を持って所謂心服させると云う事だと思う。指導者に人から慕われる様な徳があって初めて指導者の持つ権力その他諸々の力も生きてくる。だから指導者は努めて自らの徳性を高めなくてはならない。力を行使しつつも反対する者敵対する者を自らに同化せしめる様な徳性を養う為、常に相手の心情を汲み取り自分の心を磨き高める事を怠ってはならないと思う。
- 1939年(S14)泉鏡花逝-泉鏡花忌
Memo―山本七平「人間集団における人望の研究」近視録 易➡元享利貞
*十八日 豊かさに見合った厳しさ
暮らしが豊かになれば成程一方で厳しい鍛錬が必要になってくる。つまり貧しい家庭なら生活そのものに由って鍛えられるから親に厳しさが無くても労りだけで十分子供は育つ。けれども豊かになった段階に於いては精神的に非常に厳しいものを与えなくてはいけない。その豊かさに相応しい厳しさが無ければ人間は其れだけ心身共に鈍ってくる譯である。然るに今の家庭にはそう云う厳しさが足りない。政治の上にも教育の上にも足りない。其れが中学や高校の生徒が色々と不祥事を起こしている一つの大きな原因になっているのではないだろうか。
- 1931年(S6)満州事変勃発
今日はカイワレ大根の日
短い言葉でわかりやすく、世事哲学の真理を解き明かしてくれる。第一線で活躍し続けた方だけに発することが出来る、言葉がちりばめられている「一日一話」本気で読めば、人生変えられるかも・・・・