自ら処すること超然
人に処すること藹然
有事斬然 無事超然
得意澹然 失意泰然
六然の教えと云われる詞。
この言葉数回紹介していると
思います。
事ある如に私はこの言葉を
心で反芻いたしています。
この言葉は中国の明時代かの有名な
儒者王陽明が朝廷の実力者の不正を
糾弾したため流罪になったとき友人
の崔後渠(銑)が贈った言葉だと云
われています。
陽明を尊敬しそしてその直情を心配
する心情が善く表れている言葉だと
思います。
この言葉を私が知ったのはよく引用
させてもらう安岡正篤著「百朝集」
からです。
この本には古今東西の安岡正篤が
選んだ百のエピソード・名言が解説と
共に紹介されている本です。
終戦前後の当時緊張した世情の
中で来るべき時代を青年諸士に
託すべく金鶏学園で行った勉強会
での言葉を集めたものでまた啓蒙
の書として世人一般人の生きてゆ
く上での指針となればとの願い
から纏められたもののようです。
詳しくはこの本の「序」や「あとがき」
を読めば当時の情況と共に安岡正篤の
真情・この本の持つ大きな意味も理解
されると思います。
興味のある方は本文のみでなく「序」や
「あとがき」をあわせ讀むことをお勧め
いたします。因みに此の章の解説には
「これが出来ればそれこそ眞の自由人!
こうなるにはよほどの修練を要する。
兎角我々は
自処紛然 処人冷然 有事茫然
無事漫然 得意傲然 失意悄然
というようなことになっている。」
と耳の痛いことばがあります。
この本には安岡正篤翁の有名な言葉
六然の言葉を踏まえた「六中観」も
あります。
壺中天有 意中人有 腹中書有
ということば。
一つ一つの言葉はどこかで一度は
聞いたことのある言葉ではないで
しょうか?
常日頃こう云う言葉に親しんでいれば
何か事あるごとに知らず考えの指針と
なって善い方向へと導いていただける
様な気がします。
私は座右の書としていつも身近に
百朝集を置き今でもよくページを
繰るようにしています。
百朝集一度は読んで頂くことをお勧め
いたします。