百朝集79番
今天下 詖淫邪遁の言畢く盛生学士に見る
魑魅昼現れ変怪百端なるが如し
又妖物人に憑き笑諦怒罵総て自主
為らざるが如し
吾幾んどその心無きに病む心無し故に
文も無く理も無し
この無文無理の人を以て此の無政無聲の
世を造る影響の如く然り
明ー劉念台
(解題)
昔の事とは思えぬ感慨である。
今日の我が国も全くこれと機を
同じくしている。
革命とか戦争とか派手な活動ばかり
するのが志士ではない。
人心風俗を興す中江藤樹や細井平洲
石田梅巌や行誡上人のような有徳
有道の奮起せねばならぬ時である。
-安岡正篤
◎劉念台:中国明代の儒家陽明学者-明朝亡国
の折絶食して命を絶つ。
◎中江藤樹:江戸時代近江国陽明学者近江聖人
と称され日本陽明学の祖とも目され多大な
影響を与えた。
◎細井平洲:江戸後期尾張国の儒学者 彼の名君
と称された上杉鷹山の師となり米沢藩再建に寄与
◎石田梅巌:江戸中期の思想家・倫理学者で
後年の企業責任の本質的精神の原点的思想書
「倹約斎家論」等を著す
◎行誡上人:江戸末期から明治初期の浄土宗僧侶
明治政府の廃仏論に対し真っ向から反対し仏教界の
同盟をつくり擁護運動を展開した。
➡この解題は既に50年以上も前に書かれた
ものですが現状に照らし日本の情況が
改善どころか劣化しているように感じるのは
私だけでしょうか?
安岡正篤師のいう有徳有道の志士がこの令和
の時代に顕れることを期待しましょう。