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渋沢栄一のことば解 

渋沢栄一100の訓言memoより

渋澤健 著 日経新聞社

今回、新1万円札の肖像として脚光を浴びる事となった渋沢栄一翁。近代日本の産業の基礎を築き上げた巨人、産業・経済界のみでなく、社会生活全般の近代化に尽力されたのは周知のこと。ご存じでしょうが、今は東京屈指の高級住宅街となっている田園調布も、本をただせば渋沢栄一翁が当時働く人々の為に住宅地として整備したのが始まりとか・・・

今でも多大なる影響を及ぼしている、巨人の言葉を玄孫渋沢健氏が纏められた本の中から紹介します。

読み易い本ですし、翁の思想のエキスが詰まった本なので興味ある方は一度手に取って頂ければと思います。更にその本には、どの著書から引用した言葉かという事も分かりますので深く触れたいと思われる方の案内書としても最適です。

茲では、本文の中から是はという言葉を抜き出しています。

【夢七訓】(挿入)

夢無キ者ハ理想ナシ 理想無キ者ハ信念ナシ 信念無キ者ハ計画ナシ

計画無キ者ハ実行ナシ 実行無キ者ハ成果ナシ 成果無き者ハ幸福ナシ

故ニ幸福ヲ求メル者ハ夢ナルベカラズ

(これは、渋沢栄一の言葉とされるものです)

毎日新しいものを探そう(2)

日々に新たにして また日に新なりは面白い すべて形式に流れると精神が乏しくなる 何でも日に新たなりの心掛けが肝要である              論語と算盤  〈理想と迷信〉

欲がない人はダメ(4)

無欲は怠慢の基である      渋沢栄一訓言集 〈一言集〉

すべては心の持ち方次第だ(7)

世の中の事すべては心の持ち様一つでどうにでもなる             渋沢栄一訓言集 〈一言集〉

人は理想を持たねばならない(9)

およそ目的には 理想が伴わなくてはならない その理想を実現するのが人の務めである         渋沢栄一訓言集 〈処事と接物〉

細かくこだわりすぎる心は元気をすり減らす(12)

あまりに堅苦しく物事に拘泥し 細事に没頭する時は自然に溌溂たる気力を銷磨し進取の勇気を挫くことになる(中略) 溌溂たる活動を為し初めて大事業を完成し得るものであるるから近来の傾向に就いては大いに警戒せねばらぬな         論語と算盤 〈成敗と運命〉

信じていないことは口に出すな(15)

自分が信じぬことは言わず 知った以上は必ず行うという念が強くなれば自然に言語は寡黙になり行為は敏捷になるものである                渋沢栄一訓言集 〈立志と修養〉

ときには考えをやめて行動に移さねばならない(17)

すべて世の中の事は三思しても猶足らず 十思百慮を要することもあればまた再思の要だに無く直ちに実行せねばならない事もある              渋沢栄一訓言集 〈処事と接物〉

礼儀を尽くせ(20)

礼儀ほど美しいものはない       渋沢栄一訓言集 〈一言集〉

わがままを元気と誤解するな(22)

人と争って自分が間違っておっても強情を張り通す これが元気が良いと思ったら大間違いである       論語と算盤 〈人格と修養〉

口は幸運の門でもある(26)

口舌は実に禍の起こる門でもあるが また福祉の生ずる門でもある          論語と算盤 〈常識と習慣〉

素直に望めば運命は拓ける(28)

自分から こうしたいああしたいと 奮励さえすれば 大概はその意の如く成るものである 然るに多くの人は幸福なる運命を招こうとはせず却って手前の方から故意に侫けた人となって 逆境を招くようなことをしてしまう                       論語と算盤〈処世と信条〉

順境も逆境も自分が作りだすもの(30)

世人は 一も二もなく彼を順境の人思うであろうが 実は順境でも逆境でもなく その人自らの力でそういう境遇を作りだしたに過ぎない                               論語と算盤〈成敗と運命〉

成功熱に踊らされるな(34)

世に成功熱に浮かされ野猪的に進む者がおおい 渋沢栄一訓言集〈道徳と功利〉

常識とは智・情・意のバランスのことである(37)

智・情・意の三者が各々 権衡を保ち 平等に発達したものが完全の常識であろう                      渋沢栄一伝記資料〈青淵百話〉

緻密過ぎる教育は鉢植えの木のような人をふやす(44)

現今の教育は 修学の順序と言い 教育の仕方といい 至極緻密であるが成業の人を視ると鉢植の樹木を観るように枝振りはいいが兎角小規模でただ小利にのみ走ると言う幣が見える          渋沢栄一訓言集〈学問と教育〉

人の心に沁み込んだものは簡単に消せない(49)

浸潤は実に恐ろしいものである 一旦沁み込んだら容易に除き去れる

ものではない             渋沢栄一訓言集〈座右銘と家訓〉

信と義は表裏一体である(51)

信には義が伴わねばならず 義には信が伴わねばならない           論語と算盤〈常識と習慣〉

志が立派なだけでは世間は信用しない(56)  

志がいかに善良で忠如の道に適っていてもその所作がこれに伴わなければ世に信用を受けることができぬ訳である 論語と算盤〈常識と習慣〉

忙しくても二つのことを同時にやるな(58)

如何に忙しき時とても 仕事を考えながら人と談話し 談話しながら事務上に心を配るなどは過誤を招く所以である     渋沢栄一訓言集〈処事と接物〉

一本のマッチから大火事になる(60)

凡そ信用は絶対的なものである(中略)一本のマッチ一本の吸殻からも大火の起ることもある          渋沢栄一訓言集〈実業と経済〉

形だけの礼は礼をしないより悪い(62)  

人に対して敬礼を欠いてはならない されど唯形式だけの敬礼は往々相手の感情を害し却って礼せざるに劣るものである
渋沢栄一訓言集〈処事と接物〉

信任を失った経営者は潔く其の職を去れ(65)

会社の重役たる名誉も 会社の資産も 悉く多数株主から自分に嘱託

されたものである 若し多数人の信任がなくなった際は何時でも潔く其の職を去るのが当然である       渋沢栄一伝記資料〈青淵百話〉

王道を歩こう(73)

若し其れ富豪も貧民も王道を以て立ち 王道は即ち人間行為の定規であるという考えを以て世に処するならば百の法文千の規則有るよりも遥かに勝ったことだと思う

                       論語と算盤〈算盤と権利〉

弱者の自立を促すような救済策が必要だ(75)

弱者を救うは必然のことであるが 更に政治上依り論じても(中略)

成るべく直接保護を避けて防貧の方法を講じたい

                      論語と算盤〈仁義と富貴〉

生ぬるい湯につかるな(77)     

何事にも熱情無き人がある 此れを国家社会の上から見れば酔生夢死の人間と言うほかなくその種の人が多くなれば即ち国は必ず滅ぶ

渋沢栄一訓言集〈座右の銘と家訓〉

公益を口実に他人に保護を求めるな(79)

公益を口実にして 他の保護を求めるは日本人の通弊である(中略)

世間には随分勝手な説を立てる者がある

                    渋沢栄一訓言集〈道徳と功利〉

一部が気に入らないと全体を否定しがちだ(80)

兎角 人は一局部に不如意のことがあれば 全体を善からぬものとする幣がある                渋沢栄一訓言集〈処事と接物〉

安易に多数決に頼るのは残酷な行為である(81)

何事も多数決 多数決というけれども 多数の力で少数の者を圧倒するはこれ程容易のことはない またこれ程惨酷なことはない

                     渋沢栄一訓言集〈道徳と功利〉

自分が嫌なことは他国にも押しつけない(85)

日中間は同文同種の関係であり(中略) 人情を理解し己の欲せざる処は此れ人に施さず所謂 相愛忠如の道を以て相交わるのあり

論語と算盤〈実業と士道〉

完全な富を築きあげよう(91)

完全なる富は 完全なる信念から 生じなければならない

                    渋沢栄一訓言集〈座右銘と家訓〉

優れた人格とお金儲けは立派に両立する(94)

かくの如き誤解あり (中略)仁義道徳を以て人を治めたる者は 生産利殖に関係するものではない・・・            論語と算盤〈実業と士道〉

お金の善し悪しは使う人に依って決まる(95)

金はそれ自身に善悪を判別するの力はない 善人が此れを持てば善くなる 悪人が此れを持てば悪くなる            論語と算盤〈仁義と富貴〉

義は大切だが利を度外視してはならない(98)

何時でも事業に対する時には 利に喩らず義に喩ることにしておる 多数の人より資本を寄せ集めるには事業より利益の挙がるようにせねばならぬ利益を度外に置くことを許さぬは勿論であれる

                          論語講義〈里仁第四〉

富を永続させよう(100)

真正の利殖は仁義道徳に基づかなければ決して永続するものではない

                        論語と算盤〈仁義と富貴〉

総 論

論語と算盤という懸け離れたものを一致せしめることが今日の緊要の務めと自分は考えているのである

                        論語と算盤〈処世と信条〉

渋沢 栄一(しぶさわ えいいち、天保11年2月13日(1840年3月16日) – 昭和6年(1931年)11月11日)は、江戸時代末期(幕末)から大正初期にかけての日本の武士(幕臣)、官僚、実業家。第一国立銀行や東京証券取引所などといった多種多様な企業の設立・経営に関わり、日本資本主義の父といわれる。理化学研究の創設者でもある。

おわりに現代(昭和平成)の経済産業界の巨人稲盛和夫氏の言葉を記しておきます。

一、謙虚にして驕らず奢らず                                                   二、思念は業を創る                            三、宇宙の心と一体になる                 稲盛和夫